日本マンガ史にその名を刻む名作「北斗の拳」が2013年、連載開始「30周年」を迎える。
この記念すべき年を意義あるものにすべく、原作の公式親善大使が豪華ゲストを迎えて対談。
これまで語られてきた北斗、語られていない北斗。
北斗に魅せられし者たちが届ける大型新連載、愛深きゆえに行われる。



先月号で創刊3周年を迎えた我らがゼノン。その先月号で当連載は原哲夫先生を迎え、初の巻頭カラーでのお届け。さらに袋とじの特別付録では新エピソード(※1)に関する対談も行わせていただいた。しかし原先生との「語り」は、その枠にすら入りきらないほど濃厚かつ心躍るものであり、迷わず編集部に後編の執筆を直訴。見事に快諾され、再び原先生の声を届ける運びとなった。

【※1】新エピソード
北斗の拳「30周年」を記念してリリースされた、ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』。11月末現在で4巻までが発売されているが(月2巻ずつ販売)、その11巻に、ラオウ没後からバットとリンが大人になるまでの「空白の時間」が描かれる。連載終了後初となる武論尊先生と原哲夫先生の北斗タッグ。歴史の目撃者となれ。

注)このインタビューは、月刊コミックゼノン1月号(2013年11月25日発売)に掲載されたものをそのまま使用しております。

──ガル憎(以下略)先生。今度は僕の中にある長年の疑問点。それについてもお聞きしたいのですが。

原哲夫(以下略)疑問点? どういうものか分からないけど…どうぞ。

──これは、どちらかというと確認になるのですが、ケンシロウが着てるのって…革ジャンですよね?

え? そうだけど…なんで?

──いや。たまに、ジージャンとジーパンだと言う人がいまして。

あ~。いますねえ。でも、それはアニメの影響ですよね? そういう色というか、青で描かれてたから。

──ですよね! いや~もう。ようやく正式に否決できました。

革ジャンですよ。でも、アニメ世代の人は勘違いするんです。僕の中では革ジャンだし、そういう質感も意識しながら描いてたんだけどな。

──分かってます。僕はちゃんと分かってます。ただ、こういう場でそれを明らかにしておかないと、今後も勘違いされたままになるので。

なるほど。ガル憎君にしては変な質問だと思ったけど、納得です(笑)。

──はい! では、今度は長年の疑問だったことなのですが。

なんだろう? またケンシロウの胸に傷が無いとか、僕の間違い?

──いえ。違います。ジャギが被ってる鉄仮面がありますよね? あれってドラマ「スケバン刑事II」と関係あるんですか?(※2)

【※2】スケバン刑事II
1985年11月7日から1986年10月23日まで、フジテレビ系列で放送された南野陽子のテレビ初主演ドラマ。幼い時から鉄仮面を被らされ学生時代を過ごすという、現在では考えられないような奇抜なアイデアが話題を呼び、シリーズ第二弾として大ヒット。当時アニメ化されていた北斗の拳の後に始まるという縁(?)も。

スケバン刑事? 無いですよ?

──ありがとうございます!

ありがとうございます…?

──いや。スケバン刑事の鉄仮面ってジャギと似てるんですが、そっちが先っていう人がいて。ネットを調べたり自分なりに調査してジャギが先という結論に至ったのですが絶対に違うという人もいたりして。

ははは。僕ですよ。ちゃんと自分で考えました。ちなみに、ヒントを得たのは「スター・ウォーズ」です。

──なるほど! マスク系のキャラクターが多いですもんね。へえ~。

最初は「マッド・マックス2」とか、そのままかっていうくらい参考にしてたんだけど、徐々にね、ヒントを得て自分でデザインするっていう感じになってるんですよね、北斗は。

──自分の色を出していくと。

あとは、もう意図的にね。絵が上手くなってきたなと思ったころに「俺は似顔絵が描けるんだぞ」っていうアピールをしたくなってね。

──それは、たとえばファルコのモデルは「ロッキーIV」のドラゴとか?

そうそう。まさに、それ。あとは修羅の国に渡る時のゴーグルが…。

──コブラ! スタローンが演じたマリオン・コブレッティ!(※3)

【※3】マリオン・コブレッティ
1986年に公開されたシルヴェスター・スタローン主演のアメリカの刑事映画。主人公のコブラが愛用するレイバンのディアドロップ(アウトドアーズマン説が有力)がトレードマークで、これにインスピレーションを受けた原先生はそれを「ゴーグル」という形にし、修羅の国に渡るケンシロウに着用させた。記憶に残るシーンだ。

そう! まさにコブラ! よくフルネームまで覚えてるね(笑)。

──当時の僕にとって、スタローンは世界で最も憧れていた人なんで。

ああいうのは、わざと分かるように描いてたんです。でも、結局はそんなに上手く描けてなくて、幸か不幸か僕の絵になってたという。